夏井いつき 17音の旅 第5回 季語「雪」/晩冬

今日の一句

2021年1月21日(木) 季語「雪」/晩冬

橋本多佳子(はしもと・たかこ) 1899年〜1963年、俳人。

 作家論的解釈に興味ある人は橋本多佳子について調べていただきたいが、ここでは文字のみが伝える内容を読み解いてみる。
「雪はげし」とあれば、雪の中に立つ自分を思う。今、誰かに抱かれている、息のつまるほど抱きしめられている。と思いきや、「つまりし」の「し」一字によって情景が変わる。これは過去の助動詞。つまり、雪のはげしき日の出来事を生々しく思い出しているのだ。窓の雪が激しく降る日の回想だとわかると、殊更ことさらに切ない。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。