夏井いつき 17音の旅 第7回

今日の一句

2021年1月28日(木) 季語「すいせん」/晩冬

正岡子規(まさおか・しき) 1867年〜1902年、俳人・歌人。

 えちぜんみさき など海を背景としてまれることも多い「すいせん」だが、この句はいかにも子規らしいほのぼのとした味わいだ。前半「水仙にさはらぬ」とあれば、読者である私たちは、触れられるけれど「さはらぬ」距離、つまり作者は水仙の間近にいると想像する。が、「水仙にさはらぬ雲の高さ」と展開したとたん、画角がいきなり広くなる。水仙の目線で雲を見上げる魚眼ぎょがんレンズの感覚。寒風かんぷうれる水仙、清冽せいれつな香り、冬青空をゆく白雲。「かな」の詠嘆えいたん悠々ゆうゆうと気持ちよい。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。