夏井いつき 17音の旅 第9回

今日の一句

2021年2月4日(木) 季語「春立つ」/初春

小林一茶(こばやし・いっさ) 1763年〜1827年、俳人。

 初めてこの句を読んだとき、中七下五が、トイレに掛けてある日めくり暦の格言みたいやな、と思った(一茶さん、ごめん)。が、この句が一茶還暦の折の感慨をんだものだと知ってから、受け止め方が変わった。一茶が信奉しんぽうした浄土真宗、つまり親鸞しんらんさまは、ご自分のことを「禿とく親鸞」と自称していたらしい。愚かの上にまた愚かを重ねて生きる。愚かであることを平然とうべなう。一茶の悲痛な生涯を思うと、「春立つ」という季語が凛凛りんりんまぶしくて切ない。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。