夏井いつき 17音の旅 第10回

今日の一句

2021年2月8日(月) 季語「紅梅こうばい」/初春

高浜虚子(たかはま・きょし) 1874年〜1959年 俳人・小説家。

 中学校の国語の教科書に載っていた染織家志村ふくみさんの話が忘れられない。淡く匂い立つような桜色を染めるには花咲く直前の樹皮を使う、という話だ。紅梅こうばいもまた同じなのだろうか。噴き出すように花咲く紅梅、ころころ笑うような花をつける紅梅。どの紅梅の幹にも紅が通っているに違いないと感じとるのは、虚子が季語と交信できる能力をもっていたから。染色家は重ねてきた体験で、俳人は目に見えぬものを感知する能力で作品を結球させていく。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。