夏井いつき 17音の旅 第14回

今日の一句

2021年2月22日(月) 季語「しゅんせつ」/三春

 春に降る雪をたんゆきとも淡雪あわゆきとも呼ぶが、「しゅんせつ」という音読みの響きは、硬質ではかなくて美しい。羽からか、くちばしからか、たしかに鳥のどこかからこぼれた「水のつぶ」。それが光り落ちる瞬間を捉えた描写は、まるでドキュメンタリー映像のようなせいさ。何気なく書いているように見えるが、「鳥をこぼるる」の助詞「を」は、鳥という起点を明確にすることでリアルな映像を表現。漢字と平仮名のバランスも絶妙。うっとりといつまでも眺めていたい作品だ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。