夏井いつき 17音の旅 第16回 季語「椿」/三春

今日の一句

2021年3月1日(月) 季語「椿つばき」/三春

与謝蕪村(よさ・ぶそん) 1716年〜1784年 俳人・画家。

 梅や桜であれば「散る」と表現するが、椿つばきは「落ちる」なのだ。そのままの形で落ちるので「おち椿つばき」という傍題もある。
 椿にはさまざまな形や色があるが、一読、五弁の赤い椿を思った。ぽとりと地に落ちた椿は、かすかにはずみ、かたりと傾く。すると黄のしべのあたりから、美しい水がこぼれたのだ。そうか、昨日の雨がたまっていたか、と思う。たったそれだけのことなのに、なんとあざやかな映像だろう。「きのふ」という時間もまた美しくそこにある。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。