夏井いつき 17音の旅 第17回

今日の一句

3月4日(木) 啓蟄は3月5日 季語「啓蟄けいちつ」/仲春

 啓蟄けいちつは二十四節気の一つ。地中にひそみ、ふゆもりしていた虫たちが穴を出てくる頃を指す。言うまでもなく、この句の下敷きにあるのはイソップ寓話「王様の耳はロバの耳」だ。虫たちも穴を出てくる春になったぞ。さて王様の耳そうじをしてやろうじゃないか、という句意の奥には、社会風刺や皮肉ものぞく。聞く耳を持たない横暴な「王様」はどこの国にも、どんな社会にもいる。そんな寓意を、季語「啓蟄」がユーモラスに包む。明日5日が、その啓蟄である。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。