夏井いつき 17音の旅 第23回

今日の一句

3月25日(木) 季語「ながき日」/三春

夏目漱石(なつめ・そうせき) 1867年〜1916年 小説家・英文学者。

 別れをんだ句は多々あれど、なんとも長閑のどかな詠みっぷりだ。明治29年春、松山中学校の英語教師であった漱石は、熊本の第五高等学校へ転任する。その折に詠まれたのが、この一句である。
 この手の別れというのは、もちろんさみしくもあるのだが、おお袈裟げさに送り送られることが照れくさくもあり、別に今話さなくてもいいような雑談をして、じゃあ、という感じなのだろう。「欠伸あくびうつして」が絶妙なリアリティをもって、友人との「ながき日」の別れを描く。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。