夏井いつき 17音の旅 第26回

今日の一句

4月5日(月) 季語「はなごろも」/晩春

杉田久女(すぎた・ひさじょ) 1890年〜1946年、俳人。

はなごろも」は花見のためにあつらえる晴れ着。時代を越えて、俳人たちは変わることなくこの季語を愛し、み続けてきた。「花衣」の秀句として名高い掲出句を、女性のしばられがちな人生と重ね合わせて鑑賞してもよいのだが、私は「花衣」の一物いちぶつ仕立てとして、ただただうっとりと味わいたい。
 花見から戻り、晴れ着を脱ぐ。桜の美しさ、人のうず、花疲れ。ほどくひも、幾つもの紐、まつわる紐、色とりどりの紐。絹の重み、花明かりの残像、美しいうれいの「紐いろ/\」。

一物いちぶつ仕立て=季語の事柄のみで一句を成す技法

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。