夏井いつき 17音の旅 第35回

今日の一句

5月6日(木) ※立夏は5月5日 季語「がつる」/初夏

木下夕爾(きのした・ゆうじ) 1914〜1965年、詩人・俳人。

 俳句における助詞のニュアンスは、実に興味深い。例えばこの句の助詞「の」。試みに中七の「の」を「に」に替えてみると、一句は「地球儀の青い光によって五月が来た」という意味になる。
 その選択肢もあり得はするが、作者は意図と意志をもって「の」を選んでいるのだ。「五月来る」は映像を持たない時候の季語。「五月来る」を映像で表すなら「地球儀のあをきひかり」に違いないと作者は感じとったのだ。たった一字の表現の揺れ幅。それが助詞の力だ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。