夏井いつき 17音の旅 第36回

今日の一句

5月10日(月) 季語「はくたん」/初夏

高浜虚子(たかはま・きょし) 1874〜1959年、俳人・小説家。

はくたん」に対して「こう」と読む。
 牡丹園を歩く。あかい牡丹にも濃淡がある。紫がかったもの、紅白交じったもの、牡丹の色合いは多岐たきにわたる。その中に見つけた真っ白な牡丹。ゆっくりと近づき、しげしげと眺めた俳人の目は、ほのかな紅をとらえる。一見持って回った表現「~といふといへども」は、作者が「紅ほのか」に気づくまでを率直に書いたに過ぎない。この中七によって、私たち読者は一瞬にして時空間移動する。虚子のかたわらに立ち、牡丹のほのかな紅にまじまじと見入る。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。