夏井いつき 17音の旅 第41回

今日の一句

5月27日(木) 季語「罌粟けしはな」/初夏

橋本多佳子(はしもと・たかこ) 1899〜1963年、俳人。

「寂し」は、老若男女多くの俳人にまれてきたテーマ。今後も詠まれ続けていくに違いないが、これほど女という性をまっすぐに詠んだ句はないかもしれない。「髪の先」を意識するのは長い髪があってこそ。さらに「髪の先まで寂し」とあれば、その感情に今さいなまれている部位を、さまざまに生々しく思わないではいられない。
 が、この句の成否は上五「罌粟ひらく」にある。しなやかに開く罌粟けしを、したたかに支える細い茎。女の寂しさもまた、そのような属性であるか。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。