夏井いつき 17音の旅 第44回

今日の一句

6月7日(月) 季語「やま百合ゆり」/初夏

「伯母」は父母の姉を意味する。作者にとっての「母の忌」は、「伯母さまがた」にとっては妹の忌。小さい頃あの子はこうだった、ああだったと、伯母さまがたは口々に思い出を語り、年若くった妹をしのんでいるのだ。一周忌だろうか、かなりの年月を経ているのか。伯母さまがたの年齢はいかほどか。いずれにしても、母の忌をしゅするのは「やま百合ゆり」の咲く頃。母の好きな花だったか。母自身が山百合のような女性だったか。一句の余白に山百合が静かににおい立つ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。