夏井いつき 17音の旅 第45回

今日の一句

6月10日(木) 季語「時鳥ほととぎす」/三夏

杉田久女(すぎた・ひさじょ) 1890〜1946年、俳人。

 なんと気持ちのよい句か。「こだまして」で、すでに山中にいる心持ち。中七、高らかな時鳥ほととぎすの声が響きわたる。僭越せんえつながらここまでは我々にも書けるかもしれないが、下五「ほしいまゝ」は出てこない。久女は下五を得るために英彦ひこさんに通ったと書いているが、通えばできるというものでもない。女性の自由等のテーマを重ねて鑑賞するむきもあるが、「山ほとゝぎす」の晴朗な声と青葉の山のひややかな山気をあざやかに再生する句として、率直に素直に味わいたい。

英彦ひこさん
福岡・大分の県境にそびえる霊峰で、日本三大修験道場の一つ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。