夏井いつき 17音の旅 第53回 季語「蟹の子」/三夏

今日の一句

7月8日(木) 季語「かにの子」/三夏

 俳句で「蟹」と言えば夏の季語で、山、川、いそなどに生息するがにを指す。蟹の子のからは小さくて柔らかい。中七「けて」の描写によって、半透明のぷよぷよした感触も想像させる。「透く」と言い切らず「透けて」とつなぎ、透けた内側の「臓器」の存在を示し、「少なかり」と観察の結果を映像化する。下五は形容詞連用形で切れのない形だが、まるで作者の観察が、さらに微細に続いていくかのような効果をもたらす。小さな生き物への興味と好奇心が静かに伝わってくる作品だ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。