夏井いつき 17音の旅 第54回 季語「日盛」/晩夏

今日の一句

7月12日(月) 季語「ざかり」/晩夏

松瀬青々(まつせ・せいせい) 1869〜1937年、俳人。

ちょう」は春の季語だが、主役となるのは夏の季語「ざかり」だ。太陽が一番高く強く熱くる正午から三時頃まで。音という音が暑さに吸収されたかのような日盛りの静けさの中、もつれ合うように飛ぶ蝶を見つめていると、はねと翅が触れ合う音が聞こえた。いや、聞こえたように思ったのは、このしんかんたる日盛りのせいに違いない、というのだ。上五の助詞「に」は季語の現場証明が、下五の助動詞「なり」は聞き取ったような気がしたという実感がありあざやか。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。