夏井いつき 17音の旅 第55回

今日の一句

7月15日(木) 季語「くろ揚羽あげは」/三夏

 羽がぼろぼろになったくろ揚羽あげはに出会うことがある。たたかいだろうか、生殖だろうか。黒い大きなはねは、ことさらいたいたしく思われる。比較の対象であるにっしょうは、どこかで実際に目にしたそれが、この黒揚羽との遭遇によって思い起こされたものに違いない。私は、島に渡る連絡船に掲げられていた旗を思い出した。海風にちて端がぼろぼろにほつれていた旗。「日章旗」の白と赤、「黒揚羽」の黒との対比。「ぼろぼろ」は、二つを結ぶ接点としてリアルな映像を再生する。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。