夏井いつき 17音の旅 第61回

今日の一句

8月5日(木) 季語「日雷ひがみなり」/三夏

 一羽の鳥について述べているのではなく、「鳥類」とは、というささやかな気づき。博物館の標本だろうか、水辺などで目にした死骸だろうか。それらの頭骨は健気けなげなほど小さく、哀しいほど白い。
日雷ひがみなり」は雨を伴わない晴天の雷。日照りの前兆ともいわれる。下五にこの季語が取り合わせられたとたん、自由に空を飛び愛を語りひなを育て生きてある喜びを感知する脳を守っていた「小さき頭骨」へ、一句の思いがしゅうれんしていく。頭上の青空に再び雷が鳴り響く。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。