夏井いつき 17音の旅 第62回

今日の一句

8月9日(月) 季語「今朝の秋」/初秋 ※立秋は8月7日

森鷗外(もり・おうがい) 1862〜1922年、小説家・軍医・評論家・翻訳家。

 作者を意識して作品を読むか否か、本コラムでも何度か言及しているが、この作品の下に「森鷗外」とあることで、くちひげの形がいやおうなく映像化される。明治人たちが好んで生やしたのはカイゼル髭。左右の両端を上にね上げた八字型の口髭だ。毎朝ピンと整える我が髭に一筋の白いものを見つけたか。同じような口髭を蓄えた御仁のそこに「一すぢ」の白を認めたか。いずれにしても、それを老いの貫禄、人生の誇りと受け止める。清々すがすがしい「今朝の秋」である。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。