夏井いつき 17音の旅 第63回

今日の一句

8月12日(木) 季語「朝顔」/初秋

与謝蕪村(よさ・ぶそん) 1716〜1784年、俳人・画家。

 朝顔が夏の季語でないことに驚く人は多いが、掲出句はまさに初秋らしい味わいの一句。上五「朝がほや」のえいたんによって、読み手の脳内には、自分の体験を元に、様々な色の様々な咲きぶりの朝顔が様々な映像となって出現する。が、中七下五「一輪」だけ「深きふちのいろ」のものがあるよと描写されたとたん、読み手は脳内の映像の中にその一輪を見つけ出す。いかにも初秋らしい深い淵のような青い一輪を。これが俳句における映像喚起力というものなのだ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。