夏井いつき 17音の旅 第65回

今日の一句

8月19日(木) 季語「ひぐらし」/初秋

臼田亜浪(うすだ・あろう) 1879〜1951年、俳人。

 作者臼田亜浪にとってのこの「町」がどこであるのかは知らない。が、初めてこの句を読んだ時、私は尾道おのみちの町に瞬間移動していた。
 ちょっと学校に行きたくない娘と、ドライブに出かけたあの日。尾道駅に程近い駐車場を見つけ、ロープウェイで千光寺公園を目指した。尾道水道や瀬戸内海の島々が見渡せる高台。風は初秋だ。なんの目的があるわけでもなく歩き始めると、いたる所に坂道や細い路地。どの道も町へ町へと下っている。蜩の声と共に歩く道だ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。