夏井いつき 17音の旅 第67回

今日の一句

8月26日(木) 季語「きりひと」/初秋

高浜虚子(たかはま・きょし) 1874〜1959年、俳人・小説家。

きりひと」は、秋になり桐の葉が落ちることを意味する季語。中国のことわざいちよう落ちて天下の秋を知る」や、とよとみ家滅亡を描くつぼうちしょうようの戯曲『きりひと』等を重ね、この句に象徴的意味を読み取る向きもあるが、作者虚子にとってそこにあるのは、落ちてくる一枚の桐の葉のみに違いない。秋の日をはじきながらゆっくりと落ちる大きな桐の葉。その動きや色や光を、ただただ堪能しているのだ。下五「けり」は、今それに気づいている自分を喜ぶ、えいたんに違いない。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。