夏井いつき 17音の旅 第70回

今日の一句

9月6日(月) 季語「秋晴」/三秋

富沢赤黄男(とみざわ・かきお) 1902〜1962年、俳人。

 不格好だ、ユーモラスだといわれがちなペリカンだが、動物園で初めてこの生き物に出会った時、その存在感に言葉を失った。なんだ、この生き物は! という感動にとらわれた。独特の色合いのくちばし、大きくふくらむ嘴の動き、思索的な黒目、ぼってりした腹の造形も何もかも「うつくしい」と思った。
 そしてこの句に初めてかいこうした時、そうか、ペリカンの比較対象になり得るのは秋晴れ以外にはないのだ! と確信。れと詩的共感を感受した我が心の一句だ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。