夏井いつき 17音の旅 第71回

今日の一句

9月9日(木) 季語「すいみつとう」/初秋

 俳都松山の道後俳句塾にて、金子兜太先生はこれを特選にされた。選者の一人として、私も気にはなった句だが、「吸うて」という描写と「輝くよ」というえいたんが強すぎるかと評価を迷った。
 が、兜太先生はこう語られた。「すいみつとうに刃を入れる。新鮮な気分。その気分を作者は鋭く感受して、焦点を絞って書く。つまり、水蜜桃に刃がくい込むといわず、水蜜桃が刃を吸うととらえる。そして『輝く』。水蜜桃が輝く。」圧倒された。以来、我が愛唱の作品となった。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。