夏井いつき 17音の旅 第78回 季語「石榴」/仲秋

今日の一句

10月4日(月) 季語「石榴ざくろ」/仲秋

西東三鬼(さいとう・さんき) 1900〜1962年、俳人。

 初めてこの句に遭遇した時の衝撃は忘れ難い。「露人ワシコフ」という見たこともない人物が、いきなり脳内に出現し、叫び声を上げた。太った赤ら顔のきょなるロシア人が、手にした棒で片っ端から実った石榴ざくろを叩き落す。石榴は割れ、裂け、ルビー色の果実の粒が辺りに飛び散る。作品として鑑賞する時、ワシコフ氏の行為の理由を知る必要はない。露人ワシコフの叫びと、打ち落すという行為によって、生々しく表現される石榴のリアリティに息を呑むのみ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。