夏井いつき 17音の旅 第79回 季語「良夜」/仲秋

今日の一句

10月7日(木) 季語「りょう」/仲秋

りょう」は月の明るい美しい夜。俳句では、特に中秋の名月、あるいはのちの月を指す季語として用いられる。上五「晩婚や」と置き、中七下五で季語を含むワンフレーズを取り合わせるのはかなり高度な型だ。しみじみと晩婚を決意する、あるいは誰かのそれを喜ぶ気持ちが「や」の切字によって静かに溢れる。「良夜の河」はゆったりと流れる。こうこうたる満月の力によって、大きな河の水面がふくらんでいるかのような感覚。下五「ふつくらと」のあとの余白が美しい。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。