夏井いつき 17音の旅 第83回 季語「秋の風」/三秋

今日の一句

10月21日(木) 季語「秋の風」/三秋

松尾芭蕉(まつお・ばしょう) 1644〜1694年、俳人。

「人の短をいふ事なかれ 己が長をとく事なかれ」のあとに添えられている一句。芭蕉はこれを座右の銘とした。この句自体を、諺の一つのように受け止めている人も多いのではないか。誰かの短所をあげつらう、自分の自慢をとうとうと語る。その行為の後味の悪さを、ものを言えば我が唇の寒いことであるよ、と己を戒める。中七「寒し」は冬の季語ではあるが、寒しという心情に軸足がある。主たる季語「秋の風」は、物を言ってしまった唇をさらに寒々とさせる。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。