夏井いつき 17音の旅 第87回 季語「雁」/晩秋

今日の一句

11月4日(木) 季語「かり」/晩秋

いろ」とは、赤みを帯びた薄紫。読み方の「えび」とはエビカズラ(ヤマブドウの古名)に由来するらしい。ものの本によると、奈良時代からあった色で、平安時代にも好まれたそうな。
「葡萄色」の「旗」は「滅びし国」のものだという。葡萄の一語がヨーロッパのブドウ産地を連想させる。かの大陸における戦争と殺戮さつりくの歴史。葡萄色の血が流された地のブドウのイメージを内包するのが、この句に託された暗喩か。「を」の一語によって、掲げられた旗の遠景としての季語「かり」が、しみじみと味わわれてならない。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。