夏井いつき 17音の旅 第88回 季語「時雨」/初冬

今日の一句

11月8日(月) 季語「時雨しぐれ」/初冬 ※立冬は11月7日

種田山頭火(たねだ・さんとうか) 1882〜1940年、俳人。

 前書きに「自嘲」とあるためか、この句に山頭火の人生を重ねて読んでしまうのは当然のことだ。山頭火にとっての昭和6年とは……と、その境涯を語れば本稿の紙幅におさまるはずもない。
 前書きから判断してこの「うしろすがた」は山頭火自身に違いないのだが、一句の視線は第三者のもの。強烈な自己嫌悪の荒波にあって自殺未遂の記録も残っている山頭火だが、結果的に死ねなかったのは、俳句によって身についた自己客観視のおかげか、踏み切れぬ生への執着であったか……。今日の時雨しぐれを眺めつつ、ふと湧いてきた感慨。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。