夏井いつき 17音の旅 第89回 季語「鷦鷯」/三冬

今日の一句

11月11日(木) 季語「鷦鷯みそさざい」/三冬

 ミソサザイは、全長10センチほどのげ茶色の鳥。小さな体で、高らかに長くチョツィツィツィツィツーペチルルルとさえずる。冬には、低い山地、岩のある林、渓流のやぶなどにおりてくるので、冬の季語とされているのだろう。
 普段は藪に潜っているミソサザイが、まるで突風に吹かれたかのように、湖へぱっと飛び立つ。ささやかな波動が湖面を緊張させる。光が走る。いかにも冬らしい硬質なひかりだ。ミソサザイは漢字で書くと鷦鷯。ずいぶんと印象が変わる。下五「みそさゞゐ」という歴史的仮名遣いの効果はとても大きい。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。