夏井いつき 17音の旅 第91回 季語「虎落笛」/三冬

今日の一句

11月18日(木) 季語「虎落笛もがりぶえ」/三冬

「もがりぶえ」とは「虎落笛」と書く冬の季語。寒風が柵や竹垣、電線などにあたってヒューヒューと音をたてるのが虎落笛だ。
 一日の家事を終え、最後に台所で布巾をさらしているのだろうか。漂白剤のツンと鼻を刺激する臭いは、冷たい風が鼻にツンとくる感じに似ている。漂白剤に浸される布巾と、虎落笛にさらされるせきりょう。果てしない家事の終わりを詠嘆する、吐息のような下五の「かな」。虎が落ちる笛という字面の面白さもあるが、この句の表記は平仮名。繰り返される家事の切ない達成感に、平仮名の哀しみがあるか。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。