夏井いつき 17音の旅 第92回 季語「ブロッコリ」/三冬

今日の一句

11月22日(月) 季語「ブロッコリ」/三冬

 ブロッコリーを茹でるのに要するのは、2、3分というところか。何を歌っているのだろう。ブロッコリーのもりもりした緑を思うと、演歌のたぐいではないような気がする。歌謡曲でもロックでもなく……と想像を楽しんだ末に、これはカンツォーネに違いないと、勝手に決めつけたとたん、我が耳に高らかな歌声が響いてきた。
 ブロッコリーが鮮やかに茹で上がる歓喜を、朗々と歌い上げる。これぞまさに、キッチンドリンカーならぬキッチンシンガー。歌うとは生きること。生きるとは、ブロッコリーをむしゃむしゃと食うことだ。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。