夏井いつき 17音の旅 第93回 季語「冬薔薇」/三冬

今日の一句

11月25日(木) 季語「冬薔薇ふゆそうび・ふゆばら」/三冬

河東碧梧桐(かわひがし・へきごとう) 1873〜1937年、俳人。

 思いがけずにヒヨコが生まれているのに気づいたのは、朝だろうか。散歩がてら鶏小屋まで歩いたか、餌をやろうとしたか、今朝の卵を集めに行ったか。上五「思はずも」には弾むような喜び。黄色いヒヨコの無心に鳴く声も聞こえてくる。折しも庭には、寒気がそのままひかりとなったかのような「ふゆそう」が小さな花をつけている。冬という季節の中に生まれた小さな命とけなに花ひらく力。季語は「冬薔薇」だが、「ヒヨコ」の存在も同じぐらいの比重で一句が構成されていることに感嘆する。このバランスの絶妙に憧れる。

About the author

1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭の後、俳人へ転身。藍生俳句会会員。「第8回俳壇賞」受賞。創作活動に加え、俳句集団「いつき組」組長として、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。TBS系「プレバト!!」俳句コーナー出演などテレビ・ラジオにも出演多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」、朝日新聞愛媛俳壇、愛媛新聞日曜版小中学生俳句欄、各選者。2015年より初代俳都松山大使。

『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)、『「月」の歳時記』(世界文化社)、『季語道場』(NHK出版)、『おウチde俳句』(朝日出版社)など著書多数。