鍼灸の名手で人間国宝の父を持ち、幼少の頃から鍼灸の手ほどきを受けた賀先生。体に負担をかけず、全身の気・血・水の巡りとバランスを整え病気を克服する中医学と、コロナ罹患者の増加するなか、鍼とツボ押しで免疫力を高める考え方を、2020年12月28日に待望の新刊「コロナウイルスの感染や重症化を未然に防ぐ!免疫力を高める「鍼」と「漢方」」を発行した賀先生に語ってもらっています。第5回は日常的に知っておきたいツボのお話_こまごま、くよくよ、ダメダメな時の効く!

コロナに負けないカラダをつくる  第4回 (特別編)コロナや風邪の初期に知っておきたい漢方薬とツボ!

■新型コロナウイルス感染症に処方した漢方薬とは?!

 新型コロナウイルス感染症のために処方した漢方薬があります_清肺排毒湯。中国国家衛生健康委員会によると、コロナウイルスが発症した患者に投与し、実に90%以上の治癒率だそうです。武漢のコロナが収束に向かったのも、漢方薬による処方が効いたといわれています。

■コロナや風邪の初期症状に知っておきたい漢方薬

「何となく調⼦が悪いな」「⾵邪っぽいな」と感じたら、免疫⼒が下がってウイルスが体内に侵⼊した可能性があります。症状に合わせて、次の漢⽅薬を飲むことをお勧めします。

◎熱っぽい感じがするときに
「⼗味敗毒湯」と「荊芥連翹湯」
◎ゾクゾクと寒気がある
「⼗味敗毒湯」と「⼈参湯」
◎汗をかく
「桂枝湯」

上記漢方の薬効

 ⼗味敗毒湯_化膿性⽪膚疾患・急性⽪膚疾患の初期、じんましん、急性湿疹、⽔⾍
 荊芥連翹湯_蓄膿症、慢性⿐炎、慢性扁桃炎、にきび
 ⼈参湯_⼼肺、消化器の温裏剤
 桂枝湯_体⼒が衰えたときの⾵邪の初期

⼗味敗毒湯の薬効は、日本での表現となっていますが、そもそも中国では「敗毒」の意味からウィルス感染への効果を言われています。
専門の漢方医外来のクリニックや薬局、ドラッグストアなど身近なところでもで売っています。購入の際はお店の専門家に相談しましょう。

■経絡とツボを刺激して免疫力を高める

 さて、私たちの体は、ウイルスなどの侵⼊を防ぐ⼒を持っています。これを「免疫⼒」、中医学では「衛気」と呼んでいます。ツボを刺激することで⾎液循環・新陳代謝を促し免疫⼒を⾼めます。
 ここでは、ちょっとした空き時間に簡単にできる⼿と⾜のツボを選びました。家事や仕事の合間に優しくツボ押しをしてください。

 経絡上のツボは、⼈体内部と外部の接点(反応点)で、疾病の診断点であると同時に治療点でもあります。このツボを刺激することで、内臓、体表、四肢のバランスを調和することができます。
 「肺経肺の経絡」は、鎖⾻の下、⼤胸筋の上部あたりから始まり、上肢の前⾯を下り、肘窩のほぼ中央を通過して、⼿のひらの⺟⼦球を通って親指へと⾛っています。この肺の経絡を胸から順に⼼地よい程度の強さで軽く叩いたり、擦さすったり、揉んだりすることで、肺の経絡の通りをよくします。

合⾕(★)
 免疫⼒をアップさせる重要なツボです。肺経と密接な関係で、「寒熱」のいずれにも抑制作⽤があり「気」を⾼め、「外邪=病気の原因」を跳ね返す効果が期待できます。
列缺
 ⼿の太陰肺経の経⽳(ツボ)で、血管やリンパ管などと密接な関係にあります。脾胃とつながり、咳⽌めの効果があります。肺の経絡と⼤腸の経絡は表裏の関係にあるため、このツボを刺激することで、表裏ともに調整することになり、「正気」を補助し「外邪」を追い払って、痰を取り除く効果も得られます。
尺沢
 ⼿の太陰肺経の中の「合⽔⽳」と呼ばれるツボです。このツボを刺激することで腎を補い、⽔分代謝とバランスを調整し、痰を除き、咳を鎮める効果があります。深い呼吸のことを「丹⽥まで吸う(丹⽥の気は腎気に相当)」といいますが、腎には「気」を収める働きもあり、肺経上にある腎に関するツボを通じて各臓腑の間の機能を整えることができます。

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コロナウイルスの感染や重症化を未然に防ぐ!
賀先生が教える 免疫力を高める「鍼」と「漢方」
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About the author

北京中医学院(現・北京中医薬大学)卒業。中国初の鍼灸の人間国宝「国医大師」である父・賀普仁に師事。その後、来日し、東京医科歯科大学院で漢方薬を専攻。厚生省(現・厚生労働省)の鍼灸資格取得。2001年に精誠堂鍼灸治療院を開院。世界中医学学会連合会理事。日本鍼灸三通法研究会会長。